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【日本代表】今の乾貴士は「進化後の流川楓」? スペインで示した確かな成長

今は素直に自分が悪いと反省できるようなった>

 

 今季のリーガ・エスパニョーラ最終節で名門バルセロナから2ゴールを奪ったエイバルの乾貴士。日本人選手にとって鬼門と言われるスペインで健闘している背景には、メンタル面の成長があった。

 

 15-16シーズンからスペインでプレーするようになって乾の何が変わったかと言えば、客観的に物事が捉えるようになった点だという。横浜、セレッソ大阪を経て、渡独してボーフムやフランクフルトでプレーしていた頃までは上手く行かなかった時に誰かのせいにしていたそうだが、今は素直に自分が悪いと反省できるようなったそうだ。

 

 だから、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の下でしばらく代表に呼ばれない時期があっても腐らなかった。結局は自分に力がないからと、ウイークポイントをしっかと見つめ直し、結果にこだわりながらスキルアップに励んできたのだ。

 

所属先のエイバルでも良い選手、良い監督と…>

 

 バルセロナリオネル・メッシレアル・マドリードクリスティアーノ・ロナウドはまさに異次元で、スペインにおいてはマイナークラブの選手もめちゃくちゃ上手い。そうした現状を受け止め、所属先のエイバルでも良い選手、良い監督とやれているから、リスペクトの念が生まれる。

 

 背伸びせず、今の現在地を把握している。だからこそ、乾は単なるドリブラーからパスも出せるアタッカーに成長できたのだ。伝説のバスケ漫画SLAM DUNK」の流川楓のように──。

 

 実在するプロのサッカー選手の成長を架空のバスケットマンを引き合いに出して語るのはどうかというのはさて置き、かつての流川は1対1の勝負にこだわるあまり攻撃がドリブル一辺倒だった。それが、ライバルの仙道彰からのアドバイス(「1対1もオフェンスの選択肢の一つに過ぎねえ。それがわからねえうちは、おめーには負ける気がしねえ」)によって、パスも選択するようになったのだ。今の乾はそんな「進化後の流川」のようだと、勝手ながら思う。

 

 チームこそスター。日本代表の監督に就任して以来、そう何度も言ってきたハリルホジッチ監督に改めて招集された事実が、なにより乾の成長を物語るのではないだろうか。いずれにしても、乾が久しぶりの日本代表で輝きを放ってくれることを期待したい。