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【17.5.25 ハリルホジッチ監督コメント⑥/質疑応答編②】「“この罠”には絶対に引っかかりたくない」

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  photo by muo1417

 

 6月7日のシリア戦、13日のイラク戦に向けた日本代表メンバー発表のハリルホジッチ監督のコメント⑤からの続きとなる<質疑応答編②>を紹介する。

 

<質疑応答編②>

 質問:アウェーの試合では対策をしっかりと練っているケースが多いです。今回のイラク戦では戦術のアレンジがありますか?

 

「国内で強いチームはいますよね。 UAEとの対戦を思い出してください。国内だとより良いパフォーマンスを発揮する選手がいました。チームを勝たせる選手がいました。10番のオマルが右サイドにいましたよね。右から中央に入ってくる選手でした。ですから、そこを(長友)佑都と今野(泰幸)でコントロールしてほしいと考えました。戦略として相手に強さを出させないことが大事です。他の選手をフリーにしたほうがよい場合もあります。

 

 イラクにも長所があります。彼らはUAEよりアグレッシブです。テクニックはオマルたちよりないかもしれませんが、アグレッシブさは上です。特に自分たちの国でアグレッシブさがありますね。グラウンド状態も今回の鍵になります。グラウンドの状態が悪いとショートパス中心の組み立てが難しくなるので、空中戦、ロングボールが多くなると予想しています。その空中戦に勝つこと、セカンドボールを拾うことの想定をしておかなければなりません。

 

 それから3、4人の選手がドリブルしてきます。このシチュエーションでもボールをしっかり奪う、できるだけ早く背後を突くことが重要になるかもしれません。イラクの長所を抑え、短所をしっかり突くということです。そのための選手を選びました。

 

 テヘランで私はトレーニングをしたこともあります。ボールは跳ねました。テクニックはもしかしたらあまり使えないかもしれない。ダイレクトプレーや個人の素早い動きが必要になるかもしれません。フリーキックでも存在感を出していかないといかない。

 

 イラクには空中戦に強い選手もいます。そんな相手に対し、今野がかなり有効だと思います。今野、倉田(秋)、香川(真司)とまた違う選手だと、また違う状況が起きます。4番目、5番目の選手も必要になってくるということです。我々も相手を苦しめることができます。

 

 イラクは監督を変えたばかりです。確実な情報は入っていませんが、おそらくイラク人がやるでしょう。新しい監督は、必ず盛り上げるための仕掛けをしてきます。これまでの試合を2、3回ずつ見ました。もちろん、前回の日本戦も。厳しい状況に追い込まれましたよね。

 

 今一番心配しているのは、『いつか最終予選を突破できるよ、きつかったけど突破できるよ』という人がいることです。この罠には絶対に引っかかりたくない。まだ突破していないし、最後にはサウジアラビアの首都での試合が待っています。ですので、イラクに勝利しなければいけない。それによってオーストラリア戦がもしかしたらファイナルになるかもしれない。

 

 ただ、ホームでオーストラリアに勝ったことがないという歴史がありますからね。今回の合宿は重要という言葉以上の重要性があります。この勝利を要求し、最終予選を美しく終われるような準備をしたいですね」

 

 (日本サッカー協会Youtube公式チャンネルで生中継された会見で、ハリルホジッチ監督が話した言葉をもとに構成したもの)

 

 ちなみに、今回招集された25人のメンバーは以下のとおり。

GK
川島永嗣(メス)
東口順昭ガンバ大阪
中村航輔柏レイソル)★
DF
長友佑都インテル
槙野智章浦和レッズ
三浦弦太ガンバ大阪)★
吉田麻也サウサンプトン
酒井宏樹マルセイユ
酒井高徳ハンブルク
昌子源鹿島アントラーズ
宇賀神友弥浦和レッズ)★
MF
倉田秋ガンバ大阪
香川真司ドルトムント
山口蛍(セレッソ大阪
遠藤航浦和レッズ
今野泰幸ガンバ大阪
加藤恒平(PFCぺロエ・スタラ・ザゴラ)★
出口陽介(ガンバ大阪
FW
岡崎慎司(レスター)
本田圭佑ミラン
大迫勇也(ケルン)
原口元気ヘルタ・ベルリン
久保裕也(ヘント)
浅野拓磨シュツットガルト
乾貴士(エイバル)
?
★=A代表初選出
※招集メンバー、在籍クラブは5月25日現在。

 

 今回ハリルホジッチ監督はそれまで代表の常連だったGKの西川、センターバックの森重、MFの清武弘嗣らを外す一方で、GKの中村、CBの三浦、サイドプレーヤーの宇賀神、ボランチの加藤を初招集。シリアとのフレンドリーマッチで彼らをテストしたい意向もあるからだろうが、意外な人選と言えた。

 

 気になるのはコンディションが整っていないという今野と乾がイラン遠征(イラク戦はテヘランで行なわれる)に帯同できるかだ。もし厳しい場合は、バックアップメンバーから代役が選ばれる予定だ。

 

 ちなみに、日本はアジア最終予選の7節を終えてグループBの首位に立つ。グループBの順位と勝点は以下のとおり。1位/日本(勝点16)、2位/サウジアラビア(勝点16)、3位/オーストラリア(勝点13)、4位/UAE(勝点9)、5位/イラク(勝点4)、6位タイ(勝点1)。

 

 イラク戦に勝ってもまだワールドカップ出場は決まらない。そういう状況もあって、ハリルホジッチ監督は「本番はこれから」的なニュアンスのコメントを今回の会見でしていた。

 

 日本はイラク戦の後に、ホームのオーストラリア戦、アウェーのサウジアラビア戦が控えている。最後に中東勢との一戦を残していることで、ハリルホジッチ監督は6月13日のイラク戦では必勝を掲げている。

 

 6月7日のシリアとのフレンドリーマッチで初招集組の誰が使われるのかも注目ポイントのひとつになるだろう。