ACLでも大活躍しているのに、浦和の興梠慎三はなぜ代表に選ばれない?
<済州戦の興梠はスーパーだった>
ACLの決勝トーナメント1回戦で、浦和が2試合合計3-2で韓国の済州を撃破。アウェーの第1レグで0-2と敗れながら、ホームでひっくり返した勝負強さは素晴らしいの一言だった。
ベスト8進出の立役者をひとり挙げるなら、フォワードの興梠慎三だろう。前半の18分に巧みなヘディングシュートを決めると、続く34分にはこれまた巧みなループパスから李忠成の同点ゴールをアシストするなど、まさに大活躍だった。
得点に絡むだけでなく、前線で基準点になり、攻撃のリズムを作っていた点も踏まえると、ただただ素晴らしいという他なかった。済州戦の興梠は、一言でスーパーだった。
<浦和のサッカーになれることは良いことか、それとも…>
今季の興梠はJリーグでも絶好調。得点ランキングでトップを走っている(11ゴール)。なかでも、裏への動き出しなどシュートへのアプローチは名人芸で、「よくそこでトラップしてボールを収めるなあ」という場面がたくさんある。なのになぜ、このところ彼はハリルジャパンに呼ばれないのか。
推測できる理由のひとつが、浦和のサッカーに染まりすぎている点。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下、浦和はある種独特な攻撃サッカーをしている。コンビネーションこそ命で、新戦力にしてみればその戦術に馴染むのはなかなか難しい。
そうしたサッカーになれてしまうとどうなるか。例えば柏木陽介はロシア・ワールドカップのアジア2次予選でメンバーに呼ばれたことがあるが、その予選の終盤戦では代表チームのサッカーにまったく噛み合わなかった。
浦和のサッカーになれすぎてしまったせいで、他のサッカーに合わせるのが難しい。そうした現象が代表戦のピッチで起こっていたのではないか。
要するに、興梠は浦和のサッカーだから輝いていると、そんな見方もできるわけだ。
どちらかというカウンター志向の強いハリルジャパンのサッカーに、果たして興梠は必要なのか。大迫勇也や岡崎慎司を外してまで必要なのか。これらは、なかなか難しい問いである。