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【キャプテン翼考察】マリーシアの重要性が分かる名勝負②「南葛小vs修哲小」

f:id:treikax:20170602023032j:plainphoto by chia ying Yang

南葛小×修哲小

南葛小と修哲小の第26回対抗戦で、南葛小と修哲小が延長戦を戦っても決着がつかず、2-2で引き分けた試合(『キャプテン翼』単行本第2巻に掲載)

<もっともだった来生哲平の主張>

 マリーシアとは、ポルトガル語で「ずる賢さ」という意味の言葉だ。そのマリーシアについては以下のブログでも触れているが、例えば意図的に時間稼ぎをしたりする行為を指す。

 

treikax.hatenablog.com

 

 今回取り上げた一戦でマリーシアと言えば、天才GK若林源三率いる修哲小が1-0のリードで迎えた後半に使った“とりかご”だ。実況アナウンサーの言葉を借りれば、この“とりかご”は「一方のサイドでパスをまわしあい、時間をかせぐ作戦」である。

 

 南葛小のガッツマン・石崎了はその“とりかご”で逃げ切りを図る修哲小に対して「きったねえぞ、てめえら」と言うが、修哲小の点取り屋・来生哲平は「甘いな…、サッカーはかぎられた時間を有効につかってどう勝つかだ」と切り返す。

 

 来生の主張はもっともで、実際、U-20ワールドカップでの日本対イタリア戦(17年5月27日)でも“時間稼ぎのパス回し”があった。2-2で迎えた試合終盤、このままなら両チームとも決勝トーナメントに進出できる状況で、イタリアは自陣でゆっくりとパスを回す作戦に出たのだ。

 

「ある種の共謀が見て取れた」と報道するメディアもあったが…>

 

 この時点で日本も無理をする必要はなかったため、イタリアにプレスをかけなかった。結局、試合は2-2のまま終了。イタリアはグループDの2位、日本は同3位で揃ってベスト16入りを果たした。これで割を食ったのが誰あろう、アルゼンチンだった。

 

 24か国が参加していたU-20ワールドカップで決勝トーナメントに進めるのは16か国。各グループの上位2か国(計12チーム)+同3位のうち成績上位の4か国だったのだが、グループAで3位のアルゼンチンは“成績上位の4か国”から漏れて無念のグループリーグ敗退になったのだ。

 

 これを受けて南米のメディアは日本とイタリアの試合に「ある種の共謀が見て取れた」と報道したそうだが、そんな彼らにはこんな言葉をおくりたい。

 

甘いな、サッカーはかぎられた時間を有効につかってどう勝点を奪うかだ」