【キャプテン翼考察】マリーシアの重要性が分かる名勝負②「南葛小vs修哲小」
photo by chia ying Yang
南葛小×修哲小
南葛小と修哲小の第26回対抗戦で、南葛小と修哲小が延長戦を戦っても決着がつかず、2-2で引き分けた試合(『キャプテン翼』単行本第2巻に掲載)
<もっともだった来生哲平の主張>
マリーシアとは、ポルトガル語で「ずる賢さ」という意味の言葉だ。そのマリーシアについては以下のブログでも触れているが、例えば意図的に時間稼ぎをしたりする行為を指す。
今回取り上げた一戦でマリーシアと言えば、天才GK若林源三率いる修哲小が1-0のリードで迎えた後半に使った“とりかご”だ。実況アナウンサーの言葉を借りれば、この“とりかご”は「一方のサイドでパスをまわしあい、時間をかせぐ作戦」である。
南葛小のガッツマン・石崎了はその“とりかご”で逃げ切りを図る修哲小に対して「きったねえぞ、てめえら」と言うが、修哲小の点取り屋・来生哲平は「甘いな…、サッカーはかぎられた時間を有効につかってどう勝つかだ」と切り返す。
来生の主張はもっともで、実際、U-20ワールドカップでの日本対イタリア戦(17年5月27日)でも“時間稼ぎのパス回し”があった。2-2で迎えた試合終盤、このままなら両チームとも決勝トーナメントに進出できる状況で、イタリアは自陣でゆっくりとパスを回す作戦に出たのだ。
<「ある種の共謀が見て取れた」と報道するメディアもあったが…>
この時点で日本も無理をする必要はなかったため、イタリアにプレスをかけなかった。結局、試合は2-2のまま終了。イタリアはグループDの2位、日本は同3位で揃ってベスト16入りを果たした。これで割を食ったのが誰あろう、アルゼンチンだった。
24か国が参加していたU-20ワールドカップで決勝トーナメントに進めるのは16か国。各グループの上位2か国(計12チーム)+同3位のうち成績上位の4か国だったのだが、グループAで3位のアルゼンチンは“成績上位の4か国”から漏れて無念のグループリーグ敗退になったのだ。
これを受けて南米のメディアは日本とイタリアの試合に「ある種の共謀が見て取れた」と報道したそうだが、そんな彼らにはこんな言葉をおくりたい。
「甘いな、サッカーはかぎられた時間を有効につかってどう勝点を奪うかだ」