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【16-17チャンピオンズリーグ決勝レビュー】印象的だったレアル・マドリードの完璧な守備。ロナウドより称賛すべき選手は…

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 photo by Ver en vivo En Directo

 

<勝負を分けたのは62分。カゼミーロの一撃だった>

 

 16‐17シーズンのチャンピオンズリーグ決勝で歓喜を味わったのは、スペインのレアル・マドリード。イタリアの名門ユベントスを4-1で下してチャンピオンズリーグ史上(チャンピオンズカップ時代を含まない)初の2連覇を達成した。

 

 勝負を分けたのはカゼミーロのゴールだろう。1-1で迎えた62分、このMFのミドルでユベントスを突き放したR・マドリードは水を得た魚のように躍動。その4分後にモドリッチの好アシストからロナウドが追加点を決めると、終了間際にアセンシオがダメを押した。ユーべを押し込んだ時間帯にきっちりと2点目を奪えたことで、R・マドリードは試合の波に乗れたと思う。

 

 2ゴールを奪って大会得点王に輝いたロナウドはもちろん、ユーべに決定機らしい決定機を与えなかった守備陣がとりわけ素晴らしかった。マンジュキッチにバイシクルを叩き込まれた場面でもR・マドリ―のDFはシュートコースを防いでいる。あれはマンジュキッチのテクニックが凄すぎただけで、R・マドリ―のミスでもなんでもない。要するに、事故のような失点だった。

 

<マン・オブ・ザ・マッチには個人的にモドリッチを推したい>

 

 R・マドリ―は破壊力抜群の攻撃力が注目されがちだが、このユーべ戦に関してはほとんど隙のなかった組織的なディフェンスこそ称賛に値した。なかでも光っていたのが、モドリッチだ。

 

 気の利いたポジショニングで危険なスペースを埋め、4バックと絶妙の距離感を保ちながら相手を追い詰めていく。フィジカルでガンガンいくタイプではないが、とにかく“サッカーをよく知っている”のだ。プレーだけではない、頭の良さがモドリッチには備わっているのだ。

 

 そんなモドリッチは攻撃の局面になると、すっと前に出てチャンスメーカーにもなる。ユーべの3バックの弱点を突いて、サイドからの見事なクロスからロナウドのゴールをお膳立てしたプレーは、まさにワールドクラスだった。おそらくこの試合を観た大半の方がロナウドをマン・オブ・ザ・マッチに推すだろうが、個人的にはモドリッチを推したい。

 

 左サイドを何度も駆け上がり、チームの4点目をアシストしたマルセロの働きも確かに凄かった。ただ、それさえもモドリッチが中盤を巧みにコントロールしているから、マルセロが躊躇なくオーバーラップできると思えてしまう。

 

 それにしても、チャンピオンズリーグ決勝は毎度のことながら楽しい。Jリーグと違ってつまらないミスが少なく、あちこちで駆け引きが行なわれている(退場したユーべのグアドラードはまんまとセルヒオ・ラモスの“罠”に引っかかった)。同じチャンピオンズリーグでも、試合内容云々より乱闘騒ぎがピックアップされる地域のそれとは、あらゆる意味でレベルが違いすぎる。