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【キャプテン翼考察】スーパーから平凡へ。GK若島津健のメンタルは“どこ”で萎えたか?

f:id:treikax:20170602023032j:plainphoto by chia ying Yang

 

良い意味でプライドが高かった、そんな若島津の心を折ったのは…

 

 小学生時代は若林源三と同等の実力者だった若島津健が、年齢を重ねるごとに下手になっていったのはなぜだろうか。

 

 全国サッカー少年大会の準決勝ではふらの小の松山光のPKを見事にストップし、続く南葛小との決勝でも三角げりなどで好セーブを連発した若島津は、中学に入ってからも東邦学園で腕を磨いた。自分の実力に確かな自信を持っており、武蔵中との決勝(単行本15巻に掲載)では過信とも取れるコメントを発している。

 

「このおれさまがこれ以上得点されてたまるか」

「こいザコども!三杉以外のやつに得点されてたまるか!」

「この若島津健、おまえらに3点目を入れられたらこの場でサッカーをやめてやるぜ!!」

 

 良い意味でプライドが高かった、そんな若島津の心を折ったのは、西ドイツの若き皇帝カール・ハインツ・シュナイダーだった。全日本ジュニアユースとの練習試合で、ハンブルクのエースであるシュナイダーは若島津を相手にいとも簡単にハットトリックを達成。しかも3点目のシュートで若島津を負傷(右手)させている。

 

<決定的だったのがイタリア戦での失態>

 

 後半途中に負傷交代した若島津が、ここまで短時間で完膚なきまでにやられた試合はこれが初めてだった。そして、このハンブルク戦以降、若島津は平凡なGKになってしまう。その予兆がフランス国際ジュニアユース大会前の練習のひとコマ。ディフェンダーの早田誠の平凡なシュートを弾いてしまうのだ(単行本28巻)。

 

 若林から「今のはパンチングでなく両手でがっちりとれたはずだ」と突っ込まれるのも当然だろう。これまでのスーパーセーブの数々を考えたら、ここは間違いなくキャッチできたはずだ。そしてメンタルの弱さを決定付けたのが、フランス国際ジュニアユース大会の初戦、イタリア戦での失態だった。

 

 後半開始直後、イタリアにカウンターを食らった場面、若島津はこともあろうかこんな発言をする。「く…、くそォ!!」、と。そして三角蹴りなど必殺技を出せないまま、あっさりと無名の「コンティくん」にゴールを決められてしまうのだ。

 

 武蔵中との一戦ではあれだけプライドの高かったGKが、「く…、くそォ!!」である。武蔵中との試合でのギラギラとした表情と、イタリア戦でのどこか自信がない表情とをぜひとも見比べていただきたい。

 

 世界との差をまざまざと見せ付けられて意気消沈したと思われる若島津はその後、フランス国際ジュニアユース大会でアルゼンチンとフランスを相手に4失点とゴールを奪われまくる。このヨーロッパ遠征は、若島津にとって自信とメンタルを打ち砕かれた遠征だった。

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