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【イラク戦レビュー】賢くなかったハリルジャパン。追いつかれた時点で“ジ・エンド”だった

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 photo by muo1417

 

<前半から味方を走らせるパスが多すぎたのではないか>

 

 なんともフラストレーションの残るドローだった。大迫勇也の先制点で幸先良くリードしたところまでは良かった。シリア戦で左肩を脱臼した香川真司が戦線離脱、山口蛍も負傷欠場と暗雲が垂れ込める状況で、日本はアウェーの地で待望のゴールを奪いながら、そうした勢いをみずから消してしまったようだった。

 

 問題は先制後の戦い方だ。猛暑の影響で立ち上がりからフルパワーで戦えないのは分かる。なのに、あまりにもつなぎの意識が高すぎた。

 

 別につなぐ意識があるのは悪くない。なにより不思議に思ったのは味方を走らせるパスが多かった点だ。あの猛暑のなかでああいうパスを多用すれば、体力を削られていずれ苦しくなるのは当たり前。右サイドバック酒井宏樹が後半途中にリタイヤしてしまった原因のひとつに、本田圭佑のパスに振り回された点があったのではないかと思う。

 

メリハリをもっとつけるべきだった>

 

 もう少し省エネのサッカーをしても良かった。引くべきところは引いて、カウンターを狙う。前半からプレスをかけるスタンスを崩さないから、原口元気は後半途中でバテたわけだし(トップ下で前半からあそこまで走らされたら相当きつい)、肝心なところで攻撃のスイッチが入らなかったというのは勝手な解釈だが、「追いつかれたら今日の日本は終わりだな」という雰囲気はテレビで試合を観ていた方(もちろん自分もそのひとり)もなんとなく感じていたのではないか。

 

 吉田はイラク戦の前に「賢く戦わないといけない」と言っていたが、正直、この日のハリルジャパンは賢くなかった。怪我人続出(井手口陽介はのうしんとうの疑い、酒井宏樹も膝を負傷)というアクシデントがあったとはいえ、リードした時点でもう少し上手く戦えたはずだ。

 

 具体的にはロングボールをもう少し使って、最前線の大迫に当ててよかった。このCFのキープ力を生かして味方が休む時間をもっと作れれば、あるいは違う試合展開になっていたかもしれない。とにかく、日本は試合運びが下手くそだった。攻めるなら攻める、守るなら守る、そのあたりのメリハリをもっとつけるべきだった。

 

 まあ、今更何を言っても仕方ないので、現実を受け入れるしかない。すでにワールドカップ出場の望みがないイラクに勝てなかったということが、たったひとつの真実だ。日本は強くない。今回のアウェーゲームは、それを改めて痛感させられた試合だった。