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【コンフェデレーションズカップ2017/ドイツ対チリ戦レビュー】なぜドイツは交代枠をひとつも使わなかったのか

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 photo by Nazionale Calcio

 

 <一進一退の攻防の末に両チームが勝点1を分け合う結果に>

 

 ドイツ 1-1 チリ

得点者:ドイツ=シュティンドル(41分) チリ=サンチェス(6分)

 

【ドイツのスタメン/3-6-1システム】

GK㉒テア・シュテーゲン/DF④ギンタ―、②ムスタフィ、⑰ジューレ/MF⑭ジャン、㉑ルディ、⑱キミッヒ、③ヘクトール、⑧ゴレツカ、⑦ドラクスラー/FW⑬シュティンドル

 

【チリのスタメンと交代選手/4-4-2システム】

GK㉓エレーラ/DF④イスラ、⑰メデル(71分:⑬ディアス)、⑱ハラ、⑮ボーセジュール/MF⑧ビダル、㉑ディアス、⑳アランギス(90分:⑤シルバ)、⑩エルナンデス/FW⑪バルガス(81分:⑯ロドリゲス)、⑦サンチェス

  

【試合内容】

 先制したのはチリ。前半の6分、サンチェスがビダルのワンツーで抜け出し、エリア内にドリブルで持ち込むと、ドイツのDFにプレッシャーをかけられながらも左足で強引にねじ込んだ。

 

 だが、ここからボールを徐々に支配しようとしたのが先行されたドイツだった。1トップのシュティンドル、左サイド気味のドラクスラーを軸に小気味いいパスワークでチリの守備ブロックを崩そうとしていた。

 

 対するチリは少し引いた布陣でドイツの攻撃を防ぎ、鋭いカウンターから2点目を狙いに行く。20分にはドイツのミスを突いてバルガスが強烈なミドルを放つ。惜しくもクロスバーに当たったものの、ドイツの勢いを削ぐには効果的な一発だった。

 

 20分以降はほぼ互角の展開。一進一退の攻防がしばらく続いた。

 

 このまま前半が終わるかと思った41分、ドイツが完璧な崩しから追いつく。ドリブルで持ち上がったジャンのスルーパスから、左サイドのヘクトールがダイレクトでゴール前に折り返し、最後はシュティンドルが滑り込みながら右足で流し込んだ。

 

 1-1で迎えた後半も激しいバトルが続く。いろんな局面で球際の競り合いが繰り広げられたのだ。

 

 チリは最終ラインの要であるメデルを負傷交代で失っても慌てず対応し、ドイツも運動量が落ちながらも要所を締めたディフェンスで失点を許さない。

 

  両チームともにシュートチャンスに恵まれず、試合は1-1の引き分けに終わった。

  

【感想】

  ドイツ、チリとも個々の基本技術が高い。前半だけなら、今大会のグループリーグでここまで一番面白い試合だった。いわゆるのめり込んでしまうようなゲームは、滅多にお目にかかれないので、この一戦を観て良かったと素直に思った。

 

 なかでも見応えがあったのは双方の球際の強さ。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が求める“デュエルの強さ”がこれなのだろう。

 

 チリのビダルやサンチェスの個人技も素晴らしいが、それにしっかりと対応するドイツの守備陣もさすがという感じだった。プライドとプライドがぶつかり合う、“ヨーロッパと南米”のバトルはやっぱり面白い。

 

 ちなみに、この試合、ドイツは交代カードを一枚も使わなかった。なぜ使わなかったと言えば、おそらくチームのバランスを崩したくなったことがその理由のひとつに考えられる。交代選手が試合をぶち壊すケースは意外にも結構ある。スタメン11人でバランスよく戦えているのなら、無理をする必要はない。チリに絶対に勝たなければいけないという状況でもないので、ドローで十分。そんな計算がドイツのレーブ監督にあったのではないかと推測する。