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【日本代表】驚きの森重外し。“ギャンブラー”ハリルの勝負運がイラク戦で試される

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 photo by muo1417

 

<吉田と森重のCBコンビを一旦解体するメリットはあるのか>

 

 ワールドカップ出場を決めた後の試合だったら、理解できる。だが、まだなにも成し遂げていない状況下で不動のレギュラーだったCBの森重真人を今回の代表メンバーから外すとは…。GKの西川周作、トップ下の清武弘嗣の落選はある程度理解できる。それぞれ川島永嗣香川真司と3月の代表戦で結果を残したメンバーがいるので、不在の影響はそこまでないだろう。

 

 しかし、CBはどうか。17年3月28日のタイ戦まで、今回のワールドカップ・アジア最終予選の全7試合で先発してきた吉田麻也と森重のコンビを、ここにきて一旦解体するメリットがあるかは疑問だ。

 

 しかも、森重の代わりに招集されたCBは槙野智章(代表24キャップ)、昌子源(同2キャップ)、三浦弦太(初招集)と代表での実績が乏しい。経験がものをいうポジションだけに、シリアとの親善試合(6月7日)はさておき、最終予選のイラク戦(6月13日)では不安が拭えない。

 

 24キャップの槙野も、ハリルホジッチ政権下では左サイドバックとして起用されるケースが多く、浦和では3バックの一角を任されている。すなわち、4バックのCBとしては未知数なのだ。また昌子と三浦は、果たして最終予選のプレッシャーに耐えられるのか。ひとつのミスが命取りになるアウェーのイラク戦(6月13日)で、彼らがまともな精神状態でプレーできるとは思わない。

 

 確かに今季のJリーグで森重は安定感を欠いている。代表から外されて当然との見方もあるが、最悪の出来だったわけではない。吉田とのコンビネーションを重視するなら、槙野以上に計算できる森重を呼ぶべきだったはずだ。

 

ハリルホジッチ監督はこれまで、ことごとく“賭け”に勝ってきた>

 

 もっとも、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、昨年11月のサウジアラビア戦で本田圭佑岡崎慎司香川真司を揃って先発から外し、さらに今年3月のUAE戦では負傷離脱の長谷部誠の代わりにベテランの今野泰幸を抜擢するなどして、目に見える結果を出してきた。

 

 負ければ解任もちらつく局面で、ハリルホジッチ監督はことごとく“賭け”に勝ってきたのだ。対戦相手の戦術や戦う環境によってメンバーを変えるハリルホジッチ監督の“カメレオン戦術”は今のところはまっている。だから今回も、指揮官なりの戦略が間違いなくあるはずだ。

 

 果たして、森重外しは吉と出るのか。“ギャンブラー”ハリルの勝負運が、アウェーのイラク戦で改めて試される。