右肩上がりの川崎。大島僚太は“フロンターレのモドリッチ”だ!
photo by martha_chapa95
<地味ながらもゲームを支配する──。その様はまるで…>
ここにきて川崎が調子を上げてきた。
17節で神戸を5-0と粉砕すれば、続く13節の延期分では浦和を4-1と撃破。ゼロトップの阿部浩之は期待以上のハンターぶりでここまでJ1得点ランク2位タイの8ゴールを挙げ、キャプテンの小林悠も鋭い抜け出しと抜群のフィニッシュワークで阿部と同じく8ゴールをマークしている。そして中盤では中村憲剛が芸術的なスルーパスで決定機を演出するなど、その攻撃はとにかく素晴らしい。
ただ、阿部、小林、中村にスポットライトが当たりがちだが、忘れてはいけないのが大島僚太の振る舞いだ。ボランチの位置から巧みにゲームをコントロールし、セカンドボールを回収しては攻撃の起点になっている。
足もとの技術は正確で、パスのもらい方(身体の向き、どちらの足でもらうかなど)も一級品。どうやったら次のプレーがスムーズにできるかを事前に把握しているように(これが簡単なようでなかなか難しい)、一つひとつのプレーが洗練されている。
地味ながらもゲームを支配する──。その様はなんとなくレアル・マドリードの司令塔ルカ・モドリッチを彷彿とさせる。
川崎が今季リーグ優勝できるかは、個人的にこの大島が鍵を握っていると思う。実際、このMFが負傷欠場していた試合は攻撃が単調で、チームとして流れというものが見られなかった。
サッカーは、主役級のタレントだけが活躍すれば勝てるほど甘いスポーツではない。阿部、小林、中村を後方で支える大島のような“縁の下の力持ち”もいて、勝てるスポーツなのだ。