本田や柴崎よりも凄かった酒井宏樹。マルセイユでの活躍はもっと評価されて然るべきだ!
photo by martha_chapa95
<本田や柴崎の移籍はそこまで注目されることなのか>
ミランでたいした活躍もしていないのに、パチューカへの移籍が騒がれている本田圭佑、リーガ・エスパニョーラに昇格したヘタフェへの加入で話題を提供した柴崎岳。連日メディアに取り上げられているふたりだが、そこまで注目されるほどのことをしたのだろうかと、ふと疑問に思ってしまう。
確かにメディアからすれば取り上げやすいタレントだろう。本田の発言はウィットに富んでいるし、柴崎の容姿は女性受けする。どちらもサッカー屈指のメディアスターであり、だからこそ、世間の注目の的となる。
その意味では内田篤人も同じだ。この2年間、ブンデスリーガで1試合も出ていないのに、最近もサッカー雑誌の表紙を飾ったり、スポーツ番組などに出演しているのだから、驚きだ。普通、これだけピッチから離れていれば放っておかれて当然なのに、根強い「女性人気」を頼りに表舞台に引っ張り出される。「なんで、今、俺なの?」と一番違和感を感じているのは、もしかすると、内田本人かもしれない。
ピッチの活躍だけで判断すれば、もっと評価されていいのがマルセイユの酒井宏樹だ。
<マルセイユでレギュラーを掴むのは簡単なことではない>
このフランスの名門に加入した2016-17シーズン、酒井はリーグ・アン(フランスリーグの名称)の35試合に出場。リーグ戦での3012分という出場時間は、チームで2位、GKを除くフィールドプレーヤーに限れば同1位という記録である。
ギャンブル的な守備ではなく、味方と連動しながら巧みに追い込んでいく。地味ながらも実に効果的な対応で、リーグ・アン屈指のアタッカーたちも抑え込んでいた酒井は紛れもなく良い仕事をしていた。
本人曰く「自分ひとりの力で守るには限界がある。だから、チームメイトとの連係がなにより重要」。そうした客観的な視点があるからこそ、自分の弱点を補う策を探し出し、ヨーロッパのトップリーグで生き残るための術を身に付けることができるのだろう。そうでなければ、マルセイユでレギュラーの座など掴めないはずだ。
マルセイユはリーグ・アン優勝9回とフランスきっての強豪クラブと言える。メキシコのパチューカやスペインのヘタフェに比べれば、よっぽどメジャーなクラブだ。そうしたチームでしっかりと結果を残す酒井が、なぜもっとメディアに取り上げられないのか。ヨーロッパ、しかもフランス代表クラスがゴロゴロいるマルセイユで活躍している酒井は、もっと評価されてしかるべきだ。