サッカーの読みもの

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天皇杯で波乱続出。退屈、いや、むしろロマンがあっていいじゃない!

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 photo by Katsuhiro Osabe

 

<J1のクラブにとってはお荷物的コンペティション

 

 毎年のように、天皇杯の2~4回戦あたりでは波乱が必ず起きる。いわゆるジャイアントキリングトーナメント戦の醍醐味のひとつで、だから大きな話題になる。

 

 しかし、なかにはネガティブな見方もあるようだ。今季は2回戦で札幌がいわきFC、FC東京長野パルセイロ、仙台が筑波大学甲府ヴァンラーレ八戸にいずれも敗戦。J1の4クラブが揃って黒星を喫したことで、「天皇杯軽視か」という問題が囁かれるようになった。

 

 実際、長野に負けたFC東京はベストメンバーではなかったし、“手抜き”と批判されればそのとおりだろう。J1のクラブにとってもはや天皇杯がお荷物的コンペティションになっていることは間違いない。天皇杯に力を入れて、リーグ戦で降格の憂き目に遭ってしまえば本末転倒である。

 

 しかも、天皇杯の決勝は例えば今季は来年の元日。Jリーグのレギュラーシーズンを終えたのに、天皇杯を戦うために貴重なオフ期間が短くなる。天皇杯の試合に勝てば勝つほど、来季に向けての準備期間も短くなるわけで、とりわけJ1のクラブ、選手からすれば“お荷物的コンペティション”に違いない(優勝すればACLの出場権を得られるが、そこにどれほどの魅力があるかは疑問)。

 

<ギラギラしているチームに勝ち上がってもらいたい>

 

 だが、J2以下にコンペティションに属するクラブにとっては果たしてお荷物コンペティションなのか。とりわけJFL、大学の体育会にとってはJリーグのクラブと戦える貴重な機会になる。ここで格上のクラブを叩けば一気に注目されるだろうし、ファンを増やすうえでも絶好のチャンスとなる。

 

 「天皇杯なんて」というスタンスのクラブは放っておけばいい。仙台を下した筑波大学のように、アップセットを演じようとギラギラしているチームが勝ち進めば進むほど、大会はきっと盛り上がる。

 

 普段サッカーには興味がない方も、例えば「天皇杯の準決勝に筑波大学が進出」とかいう見出しが新聞などにおどれば関心を持つはずだ。そして、関心を持った誰もがアップセットを期待する。そういうシチュエーションって、退屈どころか、ロマンがあっていいじゃないと思う。

 

 天皇杯JFL以下のクラブにとってはまたとない晴れ舞台。彼らの戦いぶりを追うことで、天皇杯の新たな魅力に気付けるはずだ。