サッカーの読みもの

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見ていたか、ハリル! 今の小林悠を招集しなければ、それはすなわち国内組軽視だ!

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 photo by martha_chapa95

 

<まさに“ゾーン”に入っているように見えた>

 

 J1リーグ・29節のバストバウトと言えば、仙台と川崎の一戦だろう。家長の退場でひとり少ない状況ながらも、0-2からの大逆転で勝利をもぎとった川崎の戦いぶりは感動的だった。選手全員の頑張りがこの結果につながったわけだが、なかでも素晴らしかったのが小林悠だろう。

 

 1-2で迎えた84分に見事なカットインから左足ミドルを突き刺すと、その3分後に今度は左サイドからのカットイン気味のドリブルから右足のミドルで叩き込む。この時の小林はまさに“ゾーン”に入っているように見えた。ゴールまでの道筋がはっきりと分かっていて、だからこそ自ら意図的にシュートコースを作るようなドリブルができたのだと思う。

 

 なんの躊躇もなくシュートを打つ姿からは大きな自信が窺えた。これまで裏の抜け出しやゴール前で合わせる形が多かった小林が高精度のミドルでゴールを射抜くシーンはどこか新鮮だった。ストライカーとしてひと皮剥けたのかなと、そんな感覚さえ覚えた。

 

 おそらく、その背景には好調でも日本代表に選ばれない悔しさがあったはずだ。しかし、仙台戦の2発で得点ランキングの2位に浮上した(小林は17ゴール、1位は浦和の興梠慎三で18ゴール)。文句なしの決定力を披露して、「見ているか、ハリル!」とアピールに成功したのは大きい。

 

 8月のJ1月間MVPに選ばれ、目に見える結果も出せるようになってきたタイミングが、欧州遠征(ブラジル、ベルギーと対戦)の前というのはある意味、ついている。もっとも、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がその欧州遠征に小林を呼ぶかは分からない。いや、「コンディション重視」(ハリルホジッチ監督)と言うなら、むしろ招集すべきだろう。

 

 今の小林悠を選ばれなければ誰を呼ぶの? もし小林を選外にするなら、それはすなわち国内組軽視ということになる。