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【2017年ルヴァンカップ決勝|戦評】狙い通りのC大阪。川崎は“ボールを持たされていた”

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 photo by martha_chapa95

 

 もしかすると、ゴールシーンを除けば川崎のペースだったと、そんな感想を持たれた方もいるだろう。ただ、個人的にはそうではないと思う。

 

 C大阪が川崎を2-0で下したルヴァンカップ決勝は、前者の強さが際立つ一戦だった。杉本健勇の先制弾でリードしたC大阪が素晴らしかったのは、そこから集中した守備で試合のペースを握ったこと。消極的なそれではなく、しっかりと意図したディフェンスで川崎の攻撃を跳ね返していた点は称賛に値する。

 

 ボールを保持していたから川崎ペースというのは、大きな間違いである。この日の川崎はボールを持たされていただけで、圧力のある攻撃を仕掛けているようには見えなかった。実際、川崎が作った決定機はほとんどなかった。

 

 川崎が前掛かったところを狙ってカウンターを繰り出す。試合を観た方なら分かるだろうが、よりゴール前でゴールにつながりそうなチャンスを作っていたのは、実はC大阪のほうだったのだ。

 

 ボールポゼッションがすべてではない。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督もそう言っているように、サッカーは戦略ありきのスポーツとも言える。その意味で、C大阪はしっかりとした戦略を立てて川崎戦に臨んだ印象がある。パスゲームで真っ向勝負すると分が悪いのは明らかだから、相手の土俵に乗らず、あくまで自分たちの持ち味(ルヴァンカップだけで言えばC大阪の武器は堅守)を出せるような展開に持っていった。

 

 ひと言で言えば、C大阪はしたたかだった。まさに狙い通りと、C大阪の監督、選手たちはそう思っているに違いない。