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【キャプテン翼考察】サッカーの醍醐味が分かる名勝負ベスト3③「日本×フランス」

f:id:treikax:20170602023032j:plainphoto by chia ying Yang

第3位 日本×フランス

日本がフランスに4-4の激闘の末、PK戦を制した試合(『キャプテン翼』単行本第31~33巻に掲載)

<完全アウェーの日本は様々な“アクシデント”に見舞われる>

 

 サッカーには「ホームタウンデシジョン」という言葉・認識がある。要するに、ホームが有利ということだ。UEFAチャンピオンズ・リーグなどでホーム&アウェー方式が採用されているのも、不平等がないように決着をつけるためである。

 

 この一戦は、フランス国際ジュニアユース大会に挑んだ日本が準決勝で開催国のフランスと戦った試合。当然ながら、完全アウェーの日本は様々な“アクシデント”に見舞われることになる。

 

 翼の鮮やかなボレーシュートで幸先よく先制した日本はしかし、フランスのキャプテンで大エースのエル・シド・ピエールのスライダーシュートで同点にされた後、フランスのFWルイ・ナポレオンとの小競り合いによりDFの早田誠を退場で失うと、それに抗議した翼もイエローカードをもらってしまう。しかも、早田の反則で与えたPKで逆転ゴールを奪われるなど、まさに踏んだり蹴ったりの状況……。

 

 そんな日本に追い討ちをかけるかのように、同点ゴールと思われた日向小次郎のシュートはオフサイドの判定。逆にナポレオンに追加点を決められ、1-3とリードを広げられてしまう。

 

 それでもあきらめない日本は翼のゴールで2-3にしたかに見えた。だが、その翼のオーバーヘッドは“密集地での危険なプレー”と、また怒涛の8人抜きからゴールネットを揺らした翼のシュートも「前半終了後に決まった」と見なされ、いずれも得点と認められなかった。つまり、日本は前半だけで3つもゴールを取り消されたのだ。

 

 この日のレフェリーがいかにフランス贔屓だったかは、ピエールのハーフタイム中の言葉「はっきりいって審判の判定にたすけられた点も多いんだ」からも分かる。

 

<崩れかけていたフランスを救ったのが…>

 

 後半に入って日本は日向のタイガーショット、翼のドライブシュートで3-3に追いつくものの、もうひとつの敵、スタジアムを埋め尽くすフランス・サポーターの圧力にも苦しむことになる。

 

 実際、3-3となった局面でフランスは崩れかけていた。翼に完璧に抜かれて同点ゴールを与えてしまったピエールは自信を失いかけており、流れは日本に傾きかけていたのだが、ここでフランスを救ったのがサポーターの大声援だったのだ。

 

 「こんな強力なサポーターたちがついているんだ」と改めて気づいたピエールの逆襲により、日本は追い込まれることに。パリエッフェル攻撃なる崩しで勝ち越され、残り5分で3-4と再びリードを許してしまうのである。

 

  開催国のプライドにかけても負けられないというフランスに対し、日本は岬太郎の劇的なゴールで追いついたとはいえ、延長に入った後はなかなか崩しきれない。

 

 サポーターに支えられていたフランスの守備はまさに堅守。最後はPK戦を制した日本が西ドイツとの決勝に駒を進めるのだが、その西ドイツ戦以上に日本が苦戦したのはフランス戦ではないだろうか。

 

 いずれにしても、フランスの出場メンバーだけでなく、主審、そしてサポーターとも戦ったこのアウェーゲームは、敵地で勝つのがいかに難しいかを教えてくれる一戦だった。