【吉田麻也の”無言スルー報道”について考える】問われるのは記者の技量
photo by muo1417
アウェーのサウジアラビア戦後(2017年9月5日)、あるサッカー専門ウェブサイトが「吉田麻也、取材エリアを無言で通過。敗戦に怒りか」という記事をアップしていた。そこで「おやっ?」と思った。テレビで試合を観たかぎりでは、「さっき、試合後にアナウンサーの質問に答えていたじゃん」と。
これに反応したのが当の吉田。無言で通過してないというメッセージを込めて、自身のツィッターでこう呟いている。
選手とメディアはwinwinであるべきだと思う。チームや選手はメディアを通してファンにメッセージを発信し、メディアはそれで生計を立てる。共に日本サッカーの為にやっている。今回は行き違いがあったかもしれませんがまた次回からしっかりコミュニケーションを取り取材していだければと思います https://t.co/QMJGhv4VAf
— MAYA YOSHIDA (@MayaYoshida3) 2017年9月6日
あくまで推測ながら、これは抗議のツィッターだろう。
で、問題の記事を見てみる。すると、こんな一文がある。「試合後、吉田麻也は報道陣の待つ取材エリアを無言で通過した」。これは、だめだろうと思う。
「報道陣」と書けば、読む側は当然ながらテレビのクルーも含まれていると受け取る。だが、この記者は「報道陣=ペン記者(いわゆるテレビクルー以外の取材者)」というニュアンスで書いたに違いない。
聞いた話では試合後、テレビと新聞などの取材対応は分けて行なわれるそうだ。となると、正確には「テレビクルーの取材は受けたが、ペン記者の待つエリアはスルーした」ということになる。実際、自分が取材をしたわけではないので何とも言えないが、いずれにしても、「報道陣」と一括りで表現したところに問題があった。
サッカーの記事を見ると、正直、読みにくいものが多いなと感じる。これでライターさんなの? という類の原稿もよく見かける。
いくら取材したところで、それを上手く料理するテクニックがなければ意味はない。いくら食材が高級品でも出てくる料理がまずいレストランに誰が好んで行くというのか。そこで「食材はいいんですよ」と主張されても、「でも、まずいじゃん」となる。
取材云々の前に、ライターとして飯を食うなら、やはり文章の技術こそ大事だと思う。願わくば、プロのライターさんにはそれに相応しい、分かりやすい文章を書いてもらいたい。