【日本代表】本田圭佑は本当に必要ないのか?
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<いわゆる不満分子になるようなら…>
2017年9月5日のサウジアラビア戦に先発した本田圭佑はしかし、まったくと言っていいほど存在感を示せなかった。右サイドでボールを受けても攻撃に変化を付けられず、前半だけで交代。これを受けて、世の中的に「本田不要論」が一層強まった印象がある。
今回のワールドカップ・アジア2次予選が終わる頃まで不動のエースとして君臨していただけに、少しでもミスをすれば叩かれるのは当然だ。エースの宿命とも言えるだろう。だからと言って、必要か否かという論点とは別物である。
サウジアラビア戦のパフォーマンスを見るかぎり、本田の調子云々ではなく、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の標榜する「縦に速いサッカー」にマッチしていない。少し前に「もっとボールを持っていいと思う」とポゼッション重視を好むような発言をしたこともある本田は、いわゆる不満分子になりかねない。
だとするなら、正直、本田は必要ない。最終予選で「本田がいれば」と思うような試合は皆無に等しく、むしろ予選の最後のほうは「ベンチ本田」がしっくりきていた。
<ベンチプレーヤーとしてなら”あり”だ>
ただ、本田の豊富な経験は軽視できない。槙野智章の証言によれば今回のオーストラリア戦やサウジアラビア戦の代表活動で「一番のムードメーカーは本田」だったという。代表チームというものは、エース級が揃っており、実はまとまりにくい。それはそうだろう。クラブでは王様的な扱いをされているプレーヤーが、いくら代表チームとはいえベンチに座るのは面白くない。
かつてフィリップ・トルシエ監督が2002年の日韓ワールドカップに臨むメンバーを選ぶ際に「ベンチプレーヤーではない」という理由で中村俊輔を外し、代わりに中山雅史や秋田豊といったベテランをチョイスした。トルシエ監督は、レギュラー、ベンチ、その他という3つのカテゴリーに分けて、それぞれに適任の選手をピックアップしたとも言われているが、例えば本田が「ベンチプレーヤー」という立場を受け入れるのならロシアに連れていくべきだろう。
チームにとって、ムードメーカーは不可欠。浦和でのパフォーマンスがあまり良くないのに槙野がここ最近常に代表メンバーに入っているのも、ムードメーカー的な役割を求められているからかもしれない。
いずれにしても、重要なのは本田のスタンス。ハリルホジッチ監督のサッカーに異論を唱えている(本人にそういう意識はないかもしれないが、客観的に見るとそう感じるケースがある)ばかりでは、ロシアへの道は遠のくだろう。