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【日本代表】槙野智章が必ず選ばれる摩訶不思議。そこにはある理由が…

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 photo by muo1417

 

 2017年9月28日、10月のニュージーランド戦とハイチ戦に向けてのメンバーが発表された。そこまでサプライズのなかったメンバー発表だったが、これまで代表戦を見てきた方たちはある疑問を思い浮かべたかもしれない。なぜ、また槙野が入ってるんだと。

 

 確かに浦和レッズでのパフォーマンスだけで判断するなら、代表レベルに達しているのかというエクスキューズはある。ただ、彼はサッカーのプレー以外に代表チームでは重要な役割を担っているのだ。それはつまり、ムードメーカーである。

 

 代表チームというのは、いわば王様の集まり。各クラブでエース級の選手が揃っているわけで、そうしたプレーヤーがベンチに座っていることは異常な光景なのだ。冷静に考えれば、ベンチをほとんど経験してこなかった選手が「お前は控え」と言われれば気持ちのいいものではない。

 

 代表選手ともなればプライドも高く、「なぜ俺が試合に出れない?」と嫉妬が渦巻いていたと不思議はない。2002年の日韓ワールドカップでトルシエ監督が中村俊輔を外した理由のひとつも「彼はベンチプレーヤーじゃないから」と言われている。トルシエの判断は至極まっとうで、確かにチームを作るなら反乱分子はいらない。

 

 トルシエの優れていた点は、しっかりピッチ外で貢献できる選手を意図的に選んだことだ。それが中山であり、秋田だ。このふたりがチームのムードメーカーになって他の選手を盛り上げた結果、チームに結束力が生まれた。

 

 翻って、2006年のワールドカップに臨んだ日本代表はどうだったか。ジーコ監督の下、実力者ばかりを集めた結果、グループリーグで惨敗。ブラジル戦に敗れた後、中田がピッチに倒れてもほとんど味方が寄り付かない光景が、正直、仲の悪さを物語っていた。

 

 ハリルホジッチ監督はチームの結束を固めるうえで、槙野のようなムードメーカーを不可欠だと考えているふしがある。だから、来年6月の本大会まで、槙野はきっとメンバーに入り続ける。決して浦和で活躍していなくても……。

 

 ただ、プライドの高いメンバーが集まる代表チームにとって、槙野のようなプレーヤーは本当に価値がある選手かもしれない。