サッカーの読みもの

サッカーの基礎的なこと、Jリーグ、世界のサッカーを語る

浦和がACL準決勝で改めて教えてくれた「守備の美学」

f:id:treikax:20170613172619j:plain

 photo by martha_chapa95

 

<守備でもファンやサポーターの心を掴める>

 

 浦和が会心の試合運びでACL決勝に駒を進めた。「あんな守ってばかりなのに、どこが会心なの?」と思う方もいるかもしれないが、サッカーには守備の美学というものもある。先のACL準決勝第2戦、上海上港戦で浦和が見せてくれたのがまさにそれだ。

 

 決して引かされているわけではなく、しっかりと意図を持ったディフェンスでピンチの芽を摘む。具体的に言えば、フッキ、オスカール、エウケソンという助っ人三人衆をがっちりマークし、彼らに仕事をさせないことで試合の流れを引き寄せた。

 

 浦和にとって幸運だったのは、その3人以外の選手がそこまで上手くなかったこと。要するに、助っ人3人さえ抑え込めば怖くないということがはっきりしていたため、浦和は守りやすかったと、そんな見方もできるかもしれない。

 

 いずれにしても、この日の浦和の守備は素晴らしかった。最後まで身体を張って守り続ける彼らのプレーを見て感動した者も多かったはずだ。浦和が改めて教えてくれたのは、守備でもファンやサポーターの心を掴めるということである。

 

 攻撃してこそサッカーという風潮もあるようだが、そんなものはド素人の意見。サッカーをやったことがないからこその勘違いだ。

 

 もちろん守備がすべてとは言わない。サッカーは攻守一体のスポーツ。攻めも守りも重要なのである。かつてバルサジョゼップ・グアルディオラ監督の下で黄金時代を築いた時も、前線や中盤でのプレッシングこそ戦術の肝だった。そこで相手の足を止め、ボールを奪えていたから、良い攻撃につなげられたのだ。

 

 少し話は逸れたが、上海上港戦の浦和も当時のバルサのようによくまとまっていた。チームとして守り切るという意識を選手全員が共有できたことで、一体感が生まれたのだと思う。

 

 EURO2000のオランダ対イタリア戦、09-10シーズンのインテルバルサ戦、そして今回の浦和対上海上港戦など、守備がエンターテインメントだった試合は結構ある。これらのゲームはゴールがすべてではないということを教えてくれる。