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【日本代表】本田圭佑の生きる道は? ウイング、それとも…

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 photo by muo1417

 

<右ウイングとしての戦力的価値は低い>

 

 今や本田圭佑の代表での立ち位置は「久保裕也の控え」。右ウイングのバックアッパーに収まりつつある。ベルギーのヘントで攻撃の核を担い、PKのキッカーまで任される久保を差し置いて、本田が右ウイングとして代表のスタメンを張る理由は正直見当たらない。

 

 いやいや、本田はプレスキッカーとして必要でしょ、とそんな意見もあるかもしれない。確かに清武弘嗣が招集されなかった今回の代表戦で誰がキッカーを務めるのかはひとつのポイントだが、適任者が本田なのかといえばそうではない。代表戦でのFK成功率(直接ゴールを狙って決まった確率)は低く、フリーキッカーとしてはむしろ信頼を置けない。

 

 

 となると、本田はバックアッパーでも代表に必要なのかという新たな疑問が浮かんでくる。今季のミランでのプレーを見るかぎり、とりわけスピーディーさに欠ける本田が「縦に速いサッカー」を追求するヴァイッド・ハリルホジッチ監督のサッカーに合うとは思えない。平たく言えば、現代表で右ウイングとしての戦力的価値は低い。

 

<本田自身はどのポジションでのプレーを望んでいるのか?>

 

 では、そんな本田が代表で生きる道はあるのか? 答えは勝手ながら「ある」だ。ベストなポジションはCF。実際、16年10月のオーストラリア戦では1トップを任され、絶妙なタメとボール捌きから原口元気の先制ゴールを演出している。

 

 ハリルホジッチ監督のサッカーはどちらかと言えばカウンター志向で、攻撃に転じる際、最前線のプレーヤーがボールを収め、味方の攻め上がりを引き出すということが非常に重要になってくる。現状でそうした仕事をこなせそうなのは、今回代表に呼ばれたメンバーだけで判断するなら大迫勇也と本田だけではないか。

 

 岡崎慎司は少しタイプが異なる気がする。今年3月のタイ戦を観ても、ボールを収めるというよりは裏に抜け出してリズムを作るタイプ。大迫や本田ほど味方の攻め上がりを引き出す力はない。

 

 本田はメディアの囲み取材に対し、「真ん中のポジション(それがCFという確証はないが)のほうがやりやすいし、経験もある」というニュアンスのコメントを発している。右ウイングと真ん中のポジションでは役割がまったく違うはずなので、本田の意思を尊重するなら真ん中で使ってあげたほうが得策である。

 

 本田のキープ力は今なお大きな武器で、もし右ウイングでの起用にこだわるならチームがリードしている局面(特に試合終盤)で生きてくるかもしれない。前に急ぐ必要がない際に「ボール回し要員」として使う。それはそれで、本田が生きる道のような気もする。

 

 本田は、久保にポジションを奪われた現状について、「初めて代表に選ばれた時のような、ワクワク感がある」とテレビのインタビューに答えていたが、ここから再び輝きを取り戻せるのだろうか。