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鳥栖からフランクフルトへ。鎌田大地はブンデスリーガで活躍できるのか?

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 photo by martha_chapa95

 

<鎌田はいわゆるファンタジスタ

 

 2017年6月29日、鳥栖の鎌田大地がドイツのフランクフルトへ移籍することが正式決定した。契約は2021年までの4年。これだけでも期待の大きさは窺えるだろう。

 

 フランクフルトと言えば、日本代表キャプテンの長谷部誠が在籍しているクラブ。かねてから海外挑戦を夢見ていた鎌田にとって、この代表キャプテンの存在は大きな助けになるはずだ。ただ、だからといって、ドイツの地で活躍できるかは分からない。

 

 もちろん、サッカー選手としてのポテンシャルは高い。とりわけ攻撃センスが素晴らしく、典型的なトップ下と言える。「ここに出すの?」という超絶のスルーパスは、さすがプロと言うべきレベルだ。

 

 だが、そのパスセンスに味方がついてこれなくて、鎌田が“浮いてしまう試合”も時にある。要するに、チームプレーヤーではなく、王様タイプのプレーヤーなのだ。こういう選手は、監督からしたらなかなか扱いにくい。

 

 鎌田は、いわゆるファンタジスタ。あのロベルト・バッジョフランチェスコ・トッティと同じとは言わないまでも、彼らの系譜に連なるトップ下タイプのアタッカーだけに、監督との相性はかなり重要だろう。

 

 例えばミラン時代のR・バッジョは“ファンタジスタ嫌い”と言われたファビオ・カペッロ監督に冷遇された。トッティも、そのカペッロ時代にタイプが違う中田英寿とトップ下のポジションを争ったことがある。

 

<加入1年目からいきなり活躍するのは難しいか>

 

 では、フランクフルトのニコ・コバチ監督はどんなタイプの指揮官か。2016‐17シーズンのフランクフルトの戦いぶりから推測するかぎり、コバチ監督はどちらかと言えば守備的な戦術を好み、対戦相手によって戦い方を変える柔軟性を持っている。

 

 となると、鎌田は加入1年目からいきなり活躍するのは難しいかもしれない。なにより守備を求められた今季の鳥栖でも、鎌田は本領を発揮したとは言い難いのだから…。

 

 鎌田が自身の攻撃力を存分に生かしたいのなら、この夏のキャンプでコバチ監督に唯一無二の存在と認めてもらうしかない。そう、「チームの王様」と。

 

 それは、極めて難しいミッションだと思う。もっとも、自己アピールできない選手がヨーロッパで成功なんてできない。鎌田に必要なのはなによりドイツで生き抜くための図太さだ。