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中澤佑二がJリーグ140試合連続出場。センターバックとして長生きするための秘訣とは?

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 photo by martha_chapa95

 

センターバックとして長生きするにはある種のずる賢さが必要>

 

 怪我が付き物のサッカー選手、しかもフィールドプレーヤーでこれを成し遂げるのは快挙というほかない。2013年シーズンからここまで1試合も休まず、フル出場するにはタフであると同時に、賢くなくてはいけない。

 

 どちらかと言えば本能が重視されるFWと違って、センターバックは感覚だけでプレーしていてはダメだろう。ひとりでマークもカバーリングも組み立てもやるのではなく、味方のサポートを得ながら自身のパフォーマンスを良く見せるというある種のずる賢さが必要だろう。

 

 いわゆるコーチングがとりわけ重要で、指示で味方をどう上手く動かせるかでCBの価値はある程度決まるといっていい。そうした観点からすると、横浜の中澤は味方の特徴をしっかりと把握しつつ、最終ラインを統率しているということになる。でなければ、39歳なのにスタメンを任せられるはずがない。

 

 今季のJ1を見ても、横浜の失点は18節を終えて磐田と並ぶリーグ最少。2017年シーズンに限らず、近年の横浜は堅守を維持しており、その意味で中澤の貢献度は計り知れない。ただ単に出場回数を伸ばしているわけではなく、結果も出しているのだから今回の140試合フル出場は正真正銘の快挙なのだ。

 

 それにしても、不思議である。なぜそんな中澤に、クラブは開幕前、年俸のダウン提示(50パーセント減)をしたのか。今更ながらそう思ってしまう(その後、クラブが年俸を再考した)。

 

 中澤の個のパフォーマンスだけを見れば、確かに衰えは否めない。スピード勝負で競り負けるシーンは結構あり、一瞬のキレもあまりないように見える。しかし、センターバックというポジションはそれだけで評価すべきではない。

 

 ボールがないところでのポジショニング、危険察知力など、対人プレー以外なところも実は重要なのだ。年齢や身体能力だけで実力は測れない。それが、センターバックなのである。

 

 会社の組織と同じで、周りの人たちを上手く使って自分は楽をする。センターバックとして長生きするには、そうした統率力がなにより不可欠なのではないだろうか。