サンフレッチェ広島に激震。塩谷司のアルアイン移籍は正しい決断だったのか?
photo by martha_chapa95
<その一歩を踏み出すことがなにより大事だ>
2017年6月15日、サンフレッチェ広島の塩谷司がUAEのアルアインに移籍することが決まった。今季のJ1リーグで下位に低迷する広島をこのタイミングで見捨てて、ひとりだけ逃げ出すのかと、そんな批判もあるだろう。
だが、個人的には塩谷の決断を尊重したい。慣れ親しんだクラブで、しかも確固たる地位を築いているにもかかわらず、そうしたものをすべて捨てて新たなチャレンジをする決意というのはそう簡単にできないのではないか。
行き先がヨーロッパのビッグクラブならまだ分かる。誰もが憧れるチームでプレーできれば、それは名誉なことだからだ。しかし、塩谷の新天地はUAE。世界的なビッグクラブとは言い難いアルアインである。
なかなかの挑戦だと思う。環境はガラリと変わり、言葉も通じない。多少なりともストレスがあるなか、ゼロからスタートしなければならないのがどれだけ過酷なことか。
しかし、そうした苦しみの先には大きな成長が待っていると思う。というのも、アルアインには元Jリーガーのカイオ(元鹿島)、ドウグラス(元広島。塩谷にとっては心強い存在だろう)に加えて、今回のワールドカップ予選で日本を苦しめた“アフロマン”オマル・アブドゥラフマンもいるからだ。こうした実力者と練習からマッチアップできるだけでも貴重な財産になる。
居心地のいい場所でいくら頑張っても成長しないことはある。そこに気づいたからこそ、塩谷はこのタイミングでの移籍を決断したのだろう。だとしたら、いいじゃないか、野心があって。
世界から見たらおそらく“ぬるま湯”のJリーグから飛び出し、異国の地でリスタートする。わずか数か月で挫折するかもしれないが、そうなったら戻ってくればいい。なにより大事なのは、そういう一歩を踏み出すことなのだから。
なかにはその一歩を踏み出さずに、現状に満足してしまっているJリーガーだっているはずだ。だからこそ、思う。塩谷のアルアイン移籍は勇気ある決断だ、と。