【キャプテン翼考察】「フランス・パリ・エッフェル攻撃」から学ぶ”声”の重要性
photo by chia ying Yang
<「パリ・エッフェル攻撃」という豪華なネーミングの割には地味すぎる技だったが>
フランス国際ジュニアユースの準決勝で、日本はフランスと対戦。キャプテン翼史上もっともエキサイティングだった試合のひとつ(単行本の31~33巻に掲載)だが、ここで取り上げたいのは、3-3で迎えた後半の終盤でフランスが仕掛けてきた「フランス・パリ・エッフェル攻撃」。正直、その言葉からはどんなアタックなのか想像できない。
実際、実況アナウンサーも「ピエール、ナポレオン、このふたりが口走ったエッフェル攻撃とはいったい!?」と驚いており、対峙する日本のDF陣、石崎了、次藤洋、三杉淳、松山光の4人も「エッフェル攻撃!?」とまさに虚をつかれた表情をしていた。
種明かしをすれば、このエッフェル攻撃というのは、フランスの二大エース、エル・シド・ピエールとルイ・ナポレオンのパス攻撃。要するに、このふたりがパスをつないで日本ゴールを目指すというものだった。
ただ、そこまで凄い攻撃なのかと言えば、決してそんなことはない。ふたりがパスをつないでいるだけなのである。「パリ・エッフェル攻撃」という豪華なネーミングの割には地味すぎる技だったのだ。。
しかし、ここで見逃せないのは技の凄さとかではなく、ピエールとナポレオンが”声”で日本の動揺を誘った点だ。彼らが「パリ・エッフェル攻撃だ」と叫んだ時、日本の守備陣は動きを止めている。この時点で、フランスは主導権を握ったことになる。どんな攻撃を仕掛けるのか、どう守ればいいのか、日本にそうした迷いを生じさせた時点で、フランスの勝ちだったのかもしれない。
声のフェイントというものは実際のサッカーの試合でも有効だ。「〇〇くん!」と叫んだうえで、その〇〇くんがいない方向に蹴ることで相手の意表をついたり、声というものは意外にも重要な武器なのだ。
ただでさえテクニシャンのふたりが、声も使って翻ろうする。だからこそ、岬太郎は心の中でこう言ったのだろう。「このエッフェル攻撃はまさに究極のパス攻撃だ」と。