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【キャプテン翼考察】森崎有三から学ぶ第3GKの心得

f:id:treikax:20170602023032j:plainphoto by chia ying Yang

 

<素晴らしかったのは西ドイツとの決勝前のミーティングでの振る舞い>

 

 代表チームの第3GKは微妙な立場である。文字通りの緊急事態にならないと、いわば戦力として扱われないからだ。練習中、フィールドプレーヤーに怪我人が出れば紅白戦要員としてGK以外のポジションを担ったり、便利屋的存在と言っても大袈裟ではないはずである。

 

 そんな代表チームの第3GKは、一説によると、代表ボーナス的なものは高いらしい。そうでもしないと、こうした役割をやってられないということかもしれないが、それなりの高待遇という噂がある。

 

 とにかく、第3GKは過酷なポジション。相当メンタルが強くないと務められないが、その意味で「キャプテン翼」に登場する森崎有三は“第3GKの理想像”だ。なにより素晴らしかったのは、フランス国際ジュニアユース大会の決勝当日(対戦相手は西ドイツ)に行なわれたミーティングでの振る舞いだった(「キャプテン翼」単行本34巻)。

 

 この大会、フランスとの準決勝まで正GKを務めていたのは若島津健だった。その彼がフランス戦で負傷したため、決勝は若林源三か森崎のどちらかにスタメンを任されることになったのである。

 

 ただ、若林はこの大会に出る気はなかった(日本を影でサポートするため憎まれ役を買って出ていたのだ)。しかし、日本代表の見上監督は若林を使う決断をする。見上監督が「GKは若林源三!」とレギュラーメンバーを読み上げると、当の若林は「か、監督、おれはこの大会には…」と反論するが、ここで「若林さんしかいませんよ」と言ったのが森崎だった。ただ、森崎が本当に凄いのは実はこの後である。

 

<笑顔を見せる余裕さえあるメンタルタフネス>

 

 スタメン出場に躊躇する若林を見て、日向小次郎が「日本ゴールをまかせられるのはもうおまえしかいなんだ」と言えば、松山光も「若林! 若島津がでれない以上、キーパーは若林しかいないよ!!」と続く。そして森崎が南葛中で苦楽をともにした来生哲兵や滝一も「そうだ 若林さん」と日向と松山をサポートする。

 

 要するに、森崎は間接的とはいえチームメイトにダメ出しをされているのだ。西ドイツは強いから、お前は出るな、と。

 

 にもかかわらず、森崎はじっと耐えるのだ。しかも、笑顔を見せる余裕さえあるのだから、天晴れである。

 

 ちなみに、西ドイツ戦のハーフタイム、森崎はみんなにタオルを配る雑用もこなしている。こうしたエピソードからも、森崎がキャプテン翼フリークから愛される理由が分かるだろう。まさに第3GKの鑑だ。 

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